江戸小紋の魅力

小紋のなかでも、近寄ってみなければわからないほど細かい模様を型紙で染めた着物のことです。
基本は一色染めで、遠目には無地に見えるほど細かい柄が特徴です。
遠めからは色合いが楽しめ、近くでみると柄を楽しめる、江戸っ子ならではの粋なおしゃれです。

 

一人前の型染め師になるには10年


もともとは江戸時代の武士が、裃(かみしも)の模様付けを競い合ったことにはじまり、互いに競い合うなかで模様が細かくなっていったと言われています。
江戸時代には、「定め柄」といって、各藩で裃の紋様は決まっていました。そして、裃にどれだけ細かい紋を入れられるかが「格」とされ、腕のいい型彫師や型染め師を囲っていたそうです。
鮫         行儀         角通し
  

型染め師は江戸や京都を中心に全国に散らばっていた一方、型彫師が集中していたのが三重県白子町でした。現在でも型彫師はこの地域に20人ほどいるのみで、現在使われている型紙のほとんどは三重県白子町で作られています。この地域で作られる型紙は「伊勢型紙」と呼ばれ、精緻な技を必要とすることから重要無形文化財に指定されました。

 

実際の型紙の一部。軽く引っ張っただけで破けてしまいそうなほどに、非常に細かい模様が連続して彫られています。

江戸小紋では、生地に型紙を置き、ヘラで防御糊を置いては継ぎ目がわからないように型を送るということを数十回繰り返します。このとき、継ぎ目がずれれば一反の着物にはなりません。型染め師としての技が最も必要とされる部分で、継ぎ目を合わせられるようになるには10年かかると言われています。当然、柄が細かければ細かいほど難しく、「極鮫(ごくざめ)」と呼ばれる特に細かい小紋になると、20年修業が必要と言われます。

人の手ならではの味わい、個性


江戸小紋は、こうした長年受け継がれてきた職人の「技」に、型と型の組み合わせでできる柄や色づかいなどに表れる「粋さ」が融合してできるもの。 最近では機械染めやシルクスクリーン染めにもかかわらず「江戸小紋」と称して売られているものがありますが、本物の江戸小紋には「彫り」と「染め」という人の手ならではの深い味わいがあります。

そもそも機械染めと職人さんによる型染めでは、かかる手間がまったく違います。ちなみに、「伝統的工芸品『東京染小紋』」のマークがついているものは、型で染めている本物の江戸小紋です。

また、東京でつくられる江戸小紋は、京都のように「型つけ」「蒸し」「洗い」といった工程ごとに分業になっているのではなく、一つの工場で一反一反作られています。そのため、大量生産とは違う、作り手の個性や一反一反異なる味わいを楽しめます。その分、生産量は少なく、関西圏まではなかなかまわってこないのですが、むらたやではメーカーから直接購入することで良質な江戸小紋を仕入れています。



江戸小紋が染め上がるまで

数百年におよぶ伝統の中で培われ、継承されてきた職人の技が、きめ細やかな柄の裏側に隠されています。


■1:型紙を彫る
柿渋で張り合わせた和紙に柄がつくられた道具で、図案の模様を彫っていきます古くから伊勢の型屋職人が有名ですが、これ自体が芸術品と呼べるのではと思えるほどの細やかな仕事がなされています。

■2:色糊の調整
もちごめ粉と米ぬかを混ぜて蒸し、よく練ってから染料を入れ、試し染めをしつつ慎重につくります。染め上がりの出来栄えを左右する大事なものです。

■3:色糊の調整
生地に型紙をのせて、ヘラで目尻糊を置いていきます。
型紙の彫り抜かれた部分だけが染め出されます。

 



■4:型付け

染料の入った糊を大きなヘラで全体に平均的に塗りつけて、生地の地色を染めてゆきます。


■5:蒸し
地色の糊が乾かないうちに、摂氏90~100度で15分から30分間蒸します。
糊の中に入っている染料を生地に定着させるための作業です。

■6:水洗い
蒸しあがった生地を水洗いし、余計な染料や糊を落とします。


■7:型付け

生地を張って乾燥させ、湯のしして幅を整えます。


むらたやの江戸小紋へのこだわり

むらたやの「江戸小紋」は、すべて「東京染小紋」しか取り扱っておりません。

★伝統工芸品「東京染小紋」とは・・・

昭和49年5月25日に、経済産業大臣から、伝統的工芸品として指定されました。
伝統的工芸品としての指定を受けるには、「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に規定される、下記に掲げた要件を満たしている必要があります。
(「伝統的工芸品」という呼称は、一般によく使われる「伝統工芸品」と区別するために、伝産法により定められたものです)

<指定を受けるための条件>


主として日常生活の中で使われているものであること
主要部分が手づくりであること
伝統的な技術又は技法が守られていること
(東京染小紋は「つくる技術の基本が江戸時代までに完成されている」とされています)
伝統的に使用されてきた天然の原材料が用いられていること
製品を作る産地が形成されていること

 


当店の江戸小紋には、すべて東京染小紋であることを示す証紙が張られています。
伝統の技法と理念を忠実に守り続ける職人がつくる、ホンモノの江戸小紋――「東京染小紋」にこだわる、当店の姿勢です。


アンカーむらたやの仕入れについて
むらたやの着物は相場に比べて安すぎるのでは?という疑問にお答えします

良質で安い3つの理由


むらたやは、何故良いものを安く提供できるのか?
良質な商品を安くご提供できるのは、3つの理由があります。

1.卸問屋を介さずにメーカーから直接購入しているから。

2.「浮き貸し」を行わないから。多くの呉服店では、商品を問屋から借りて、売れた分だけ問屋に代金を支払うという「浮き貸し」という手法を取っています。そのほうが在庫を持たなくてすむというリスクが減らせるからです。しかし、むらたやでは浮き貸しを一切行わず、すべて選んで仕入れています。だからこそ、より良いものを吟味していますし、何より、安い価格で仕入れることができるんです。

3.島根だから。島根という土地柄、土地と建物は、むらたやの持ち物ですので賃料は、無し。借地で無いので固定資産税のみとなり、その分商品の販売価格も抑えることができます。

このようにして、むらたやでは品質の良さにこだわり、安くて良い品をご提供しております。