涼やかにもてなす夏 ― 茶会のしつらえと着物、九月への支度

こんにちは。きものむらたやの(もう若くない)若女将です。

今日は七夕ですね。空を見上げると、今年もあの淡い天の川が見えるでしょうか。本当は今日のうちにアップしたかったのですが、少し欲張って内容を詰め込みたくなり、まずは下書きとして7月・8月の茶会や着物、そして大切な一枚を守る保管袋のお話まで、まとめて綴っておきたいと思います。

夏の茶会は「涼しさの演出」がすべて

7月・8月の茶会でいちばん大切にされるのは、なんといっても「涼しさの演出」です。暑い盛りに炭火を焚くことは避け、早朝から始める「朝茶事」を行ったり、目にも涼やかな設えを整えたりと、この季節ならではの亭主の工夫が光ります。
真夏だからこそ、お客様に少しでも涼やかな時間を過ごしていただきたい――
そんな心遣いが、道具ひとつ、花一輪にまで表れるのが夏のお茶会の醍醐味だと
私は思っています。

お召と野口の名古屋帯
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オフホワイトの夏お召と野口の夏名古屋帯

夏お召 オフホワイト色 野口の名古屋帯

7月(七夕・文月) 旧暦の七夕にちなみ、短冊や天の川、織姫・彦星をモチーフにした趣向やお菓子が数多く登場します。星合いの伝説になぞらえた意匠は、見ているだけで涼やかな気持ちにさせてくれますね。

夏・工芸キモノ野口 / 名古屋帯 【野口】麻地 手描き友禅 名古屋帯 流水疋田に菊・鉄線文様

水色の上質な麻地に、京友禅の職人が丁寧に手描きした菊と鉄線(クレマチス)を、流水疋田の格調高い文様と組み合わせた名古屋帯です。白菊の清楚な美しさと、紫の鉄線の艶やかさが、夏の装いに品格と涼感を添えます。

流水文の部分には細かな疋田絞り風が施され、光の当たり方によって表情が変化する奥行きのある意匠が魅力です。麻ならではのシャリ感が着用時の快適さを高め、見た目にも肌触りにも涼しさを感じさせます。

8月(お盆・葉月) 暑さがいよいよピークを迎えるこの時期は、あえて「知足」の精神で、手元にあるものを活かした涼しげな趣向を凝らしたり、水辺の景色を茶室に再現したりと、亭主の腕の見せどころでもあります。お盆という季節柄、静かにご先祖を偲ぶ心も添えられます。

きゅうり馬 なす牛

お盆にきゅうりとナスで作る飾りは「精霊馬(しょうりょううま)」と呼ばれ、
ご先祖様があの世とこの世を行き来するための乗り物を表します。
きゅうりの馬(迎え馬):足の速い馬に乗って、一刻も早くこの世(家)に帰ってきてほしいという願い。
ナスの牛(送り牛):歩みの遅い牛に乗って、景色を楽しみながらゆっくりとあの世へ戻ってほしい、あるいはたくさんのお供え物を運んでほしいという願いからです。

設えと道具の工夫

  • 時間帯:猛暑を避け、朝6〜7時頃から始める「朝茶事」が定番です。涼しい空気の中でいただくお茶は、また格別の趣があります。
  • 設え:葦戸(よしど)や御簾(みす)を用いて涼感を演出し、床の間には青々とした竹や朝顔などの茶花を。風が通る音まで演出の一部になります。
  • お道具:お茶が早く冷めるよう、浅く口の広い「平茶碗(なつちゃわん)」を用いるのが定番です。
  • お着物:7月・8月は「薄物(うすもの)」と呼ばれる透け感のある夏用のお着物を着用するのが茶席のマナーです。絽(ろ)や紗(しゃ)、上布などが代表的な生地で、見た目にも涼しげな織り目が夏の装いにふさわしいとされています。夏の付下げと夏の袋帯高級正絹付け下げ≪夏物≫
    日本の四季は、きものを通じて季節を感じることができるます。夏のきものは
    特にです。四季を思い感受性豊かに育んだ感情とセンスを磨くのは、夏のきもの
    が一番です。こちらの付け下げは、社長自ら京都に出向き一目見て惚れ込んだ
    ほどのお品です。むらたやが自信を持ってお薦めできる付け下げです。

涼を呼ぶ「平茶碗」の選び方

  • 時期の目安:5月から10月頃まで使われますが、特に7月・8月は主役として大活躍します。
  • 形状と意匠:口が大きく開いており、水面(お茶)が広々と見えるため、見るからに涼やかな印象を与えます。波、流水、滝、金魚、朝顔、葦(よし)などの文様が描かれたものや、ガラスや青磁、京焼・九谷焼の涼しげな絵付けが好まれます。同じお茶でも、器ひとつで体感温度が変わるように感じられるから不思議です。夏 楽茶碗萩焼 夏茶碗

涼を呼ぶ「茶花」の選び方

  • 7月の花:七夕も近いため、朝顔や撫子(なでしこ)、桔梗(ききょう)、オミナエシなど、夏の七草を中心に合わせます。
  • 8月の花:むくげ(木槿)や、水引草、吾亦紅(われもこう)、秋海棠(しゅうかいどう)など、少し秋の気配を感じさせるものを添えると、立秋を控えたこの時期ならではの風情が深まります。
  • 生け方のポイント:暑さで花が傷みやすいため、水揚げをしっかり行い、投げ入れで風通しよく、すっきりと生けるのが鉄則です。ほんの一輪でも、涼やかに見せる工夫がおもてなしの心につながります。

そのほかの季節の取り合わせ

  • 水指:ガラス製の「切子」や「南蛮」、または涼しげな青磁が定番です。青竹などを用いることもあり、見た目にもひんやりとした印象を添えます。
  • 茶器・棗:蒔絵も、流水や波、葦などの涼やかな意匠を選びます。
  • 掛物:「清流無間断」といった涼やかな禅語や、水辺の風景、朝顔の画賛などを掛けることで、部屋全体に涼風が吹き抜けるような趣向になります。

9月は「単衣」の季節へ

9月の着物は裏地のない「単衣(ひとえ)」が基本となります。暑さがまだ厳しい上旬は夏物の帯を合わせつつ、下旬に向けては少しずつ秋らしい帯や小物へと移していくのが、この時期ならではの装いの楽しみです。萩や桔梗などの「秋草文様」、トンボや葡萄といった秋のモチーフを一足先に取り入れることで、季節の先取りを楽しむのが粋とされています。夏の名残と秋の気配、その両方を纏うことができるのも単衣ならではの魅力ですね。

東京友禅にスリーシーズンの袋帯イメージ画像 東京友禅です。かなりお勧めです。

東京友禅 雪輪の柄のスリーシーズンの袋帯
お茶をされる方にも絶大な人気を誇る「名門ふくい」の袋帯です。しなやかで、
ハリ感のある帯地に、雪輪の柄を施しています。こちらの帯は、軽く、どちらか
というと単衣向きです。帯地が薄くて軽いのでこれからの季節にはちょうど良い
です。お色はこげ茶系枯茶色ですので淡いお色の着物と合わせるとメリハリが効
いて素敵になります。9月の単衣時期にも適しています。今は季節があってない
ようなものですので、薄い袋帯をお持ちですと重宝します。雪輪の中に染びった
や七宝、唐華、花菱の柄が施されていますので上品です。

高級付け下げ [正絹未仕立て] お茶会や入学式・卒業式や観劇

9月のお茶席用のイメージ付け下げです

高級付け下げ [正絹未仕立て] お茶会や入学式・卒業式や観劇

日本の四季は、人の感受性を豊かにしてくれます。歴史ある文化と共に育まれた『きもの』は、時代が変わっても形は変わらず、柄行や品質にこだわり続け末永くお召いただける日本の民族衣装として生まれてきました。そんなおきものの中の付け下げをお探しの方に自身を持ってお薦めします。単衣にも袷にも良いお色の付け下げです。

合わせている帯はスリーシーズンの袋帯です

玄人好みの上質なお品を作る帯屋さんとして有名な『吉村織物』さんの袋帯です。。備長炭を細かく砕き混合液として先染めいたしました。柔らかさと“こく”のある色彩がひと味違う『上質』を漂わせています。羅織物に見られる独特の「よろけ模様」を二重だてにして織上げ、幻想的な帯の表情を作り上げました。総通しの全通ですので、お太鼓の部分を気にしなくてすむ安心なお品で、軽くて、しなやかな締め心地です。 カジュアルな訪問着、付下げ、格のある小紋などにどうぞ

付下げ単衣向きでも袷でもどちらでもどうぞ。

高級付け下げ [正絹未仕立て] 四季を纏う 丹後ちりめん -市松に吉祥の調べ

日本の四季は、人の感受性を豊かにしてくれます。歴史ある文化と共に育まれた『きもの』は、時代が変わっても形は変わらず、柄行や品質にこだわり続け末永
くお召いただける日本の民族衣装として生まれてきました。そんなおきものの中
の付け下げをお探しの方に自身を持ってお薦めします。

地色は、都会的で品格のある「小町鼠(こまちねず)」。グレーの中にほんのりと
パープルが溶け込んだ温かみのあるお色で、日本人の肌を明るく、美しく引き立
てます。

上前(うわまえ)に施された**「市松模様」の構図**です。伝統的な市松の中に、松や桐といった吉祥文様と、菊、萩、桔梗などの四季の草花が、繊細に描き込まれています。

大切な着物を守る保管袋のご紹介

季節の着物やお茶会のお話に加えて、もうひとつ。着物の「お手入れ・保管」についても少し触れておきたいと思います。

梅雨から夏にかけては、何より湿気が気になる季節です。せっかくの大切なお着物も、しまい方ひとつでその先の状態が大きく変わってきます。

長期保管袋「きもの安心」は、機能性フィルム「プロガード®」製で作られた保管用の袋です。たとう紙で包んだ着物をそのまま「きもの安心」に入れ、チャックを閉めるだけという手軽さが何よりの魅力。特別な作業は必要なく、どなたでも簡単に取り入れられるのがうれしいところです。

  • 梅雨時期の特別なお手入れが不要に
  • 湿気やカビへの不安が減り、気持ちの面でも安心
  • 貼って使える「スマートポケット」で、収納物を書き込んでおけるので、何をどこにしまったか一目瞭然

成人式のお振袖、小紋、色無地――大切な一枚一枚を、次にお召しになるその日までしっかりと守っておきたいですね。お手入れに悩まれている方には、ぜひ一度お試しいただきたいアイテムです。

また、こちらの着物ワンポイントもご活用下さい。

きものむらたやの長年の知恵が詰まっております。


七夕から立秋へ。暑さの中にも季節の移ろいを感じながら、夏の茶会や着物を楽しんでいただけたら嬉しく思います。来月は、実際にお稽古で使った道具や、朝茶事の設えの様子もご紹介できればと思っております。