婚礼仕度~喪服はいるの?

現在では、結婚に至るまでの手続きが簡略化されています。
儀式というより、パーティーと考える方が多く、家と家との
結びつきではなく「結婚する当人同士の意思で物事を進めて決める」
そんな傾向が見受けられます。

しかしながら、今のこの時期に結婚式をされようとしている方、なかなか
大変なことだと思います。「思い通りのお式にできない。」「延期延期
で来られている方」「本当にお式は挙げられるのかしら」とご心配のこと
と思います。


こちらは、平安時代から伝わる貝遊びの「貝合わせ」を元に作られたものです。
その時代には、お嫁入りのお仕度の中に必ずといってご用意されていました。

今では、家財道具「主に電化製品でしょうか」。ひと昔前までは、花嫁仕度に
「着物」は欠かせないものでした。
〇留袖 〇訪問着又は付け下げ 〇色無地(紋付) 〇喪服 最低でも
ここらあたりまでは揃えて嫁がせていたと思います。
お稽古事をされている方なら〇小紋も持たせたでしょう。

私の母がよくこう言っていました。
『貴女が嫁ぐときには晴れ着(訪問着)と喪服をつくりましょうね。』
色無地や付け下げはお茶をしていたおかげで既に持っていましたので・・・・・
そいえば、絽の色無地もお茶をしていたおかげで持っていましたので、特別
作る必要はなかったです。

お稽古事をされている方は、必要な着物を作っている可能性が大ですので
それ以外をお仕度されれば宜しいかと思います。
ただ、今時期は「着物、着ないから」とおっしゃられる方が多く
段々と、日本の伝統的衣装が無くなりつつある現状に寂しさを感じます

着物を着られるということは、大変なこととみんなが承知していることです。
だからこそ、「さらり」と着物をお召しになられると素敵です。
是非、そんな方が増えることを期待します。

話は戻りますが、嫁入りのお仕度で着ないからいらない。と言われるのが
『喪服』です。本来ならお道具として持たせるべきものなのです。
喪服は、留袖と違って着る時は予測がつきません。だから前もってご用意
しておくことが大切なのです。

数十年前までは、ある地域(関西の方)では、袷と絽を持たせ単衣の喪服は
嫁いでから作る。何故なら、全て揃えて嫁ぐと「誰かしら亡くなるのを待っ
ている。」と思われるから単衣(透けない)の喪服は嫁いだ後と言われていま
した。
今は、袷と絽を作られて持たせれば宜しいかと思います。透けない単衣まで
作られる方は殆んどいらっしゃいません。(少なくとも私共の地域では)

喪服は葬の第一礼装となりますので紋を入れます。(書紋で5つ)

さて、この時に問題となるのが「紋」です。
実家の紋を入れる?もう嫁いでるから嫁ぎ先の紋?様々です。

「関東の方は父方で関西は母方の紋。」という風に地域によって紋の
入れ方が違っていました。
「おんな紋」という言葉を聞いたことがございますか?
私も嫁ぐまでは知りませんでした。
「おんな紋」とは、女性が代々受け継がれている紋のことです。
いわゆる母親が娘に伝えていくという習慣です。姓が変わっても女子が
途絶えるまで継承されます。

女性は、紋つきの着物を初めてつくるのは、『喪服』と言われています。
(ちなみに男性は一つ身です)
だからこそ大切な着物です。

《嫁入りのお道具としてお薦めの帯》

【帯清謹製】「植物や自然の柄文様」

黒留や訪問着(晴れ着)に結べる帯です。カチッとしていますので、
間違いのない商品です。

人間国宝・大場松魚の世界【となみ織物謹製】

おとなし目にみえますが、品も良くどんな着物にも合わせやすい帯です。

【洛陽織物 謹製】 「あぜなみ織」

お色からいってお嫁入りのお道具の帯とはいえませんが、
「あぜなみ織」の織技法は、特許登録商品です。立体感を有するうねり紋様織物の「あぜなみ織」の織成法は、地組織を畦彫りにて波形に形成することにより、うねり紋様を形成し、独特の陰影のあるボリューム感と生地のしなやかさが特徴となっています。

【藤原謹製】「正倉院文様尽くし」


嫁ぐときに持たされてもそこから20年30年は結べると思います。
「帯は妹のを借りてでも・・・・」といわれていますので、少々華やか
な方が宜しいかと思います。こちらですとお色が色々と入っていますので
無地ですとある程度のお色を持ってこられても大丈夫です。