10月・11月のお茶会と袷の着物選び|名残の茶会から炉開き・口切まで

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10月からの袷のきもの ― 秋のお茶会にふさわしい装いとは?

夏が過ぎ、9月の単衣を終えると、いよいよ10月からは「袷(あわせ)のきもの」の季節になります。
袷のきものとは、裏地のついた一般的な正絹の着物のことで、10月から翌年5月までの長い期間にわたって着用されます。特に茶道をたしなむ方にとっては、この時期は大切な茶会や行事が目白押しです。

ただ。昨今暑いのでこの10月が一番汗をかいてしまう時期かと思います。ですが
茶道の世界はしきたりを重んじるので表から見ると袷を着用されています。
ただ、工夫はされているようです。

10月は「名残の茶会」「野点の茶会」「秋の大寄せ茶会」、そして11月に入ると「炉開き」「口切」など、茶道における大切な節目が続きます。季節の移ろいを感じながら、場にふさわしい着物を選ぶことは、主催者にもお客様にも大切な心得です。

→【特集ページ:「秋冬のお茶会にふさわしい袷のきもの特集はこちら」】


10月 ― 名残の茶会と野点の茶会にふさわしい装い

10月は、まだ紅葉には早い時期ですが、夏の名残を惜しみつつ秋を迎える「名残の茶会」が開かれます。特に今年は暑かったので紅葉の紅葉がまだまだ見られません。また、屋外で自然を楽しむ「野点の茶会」も多く、季節の彩りを取り入れた装いが喜ばれます。空気もよく、風景が一つのおもてなしとなります。

そんな亭主の粋な計らいのお気持ちをお察し楽しみながらお茶を頂く。最高の贅沢ではないでしょうか。

10月~12月の行事、趣、それに対するお着物の種類や格、お勧めのお色など
まとめてみました。図にしてございますので見にくいですがご勘弁下さいませ。

【月 行事 趣向・意味合い 着物の種類 格 色文様のおすすめ 帯 小物のポイント】

 

行事 趣向・意味合い 着物の種類・格 色・文様のおすすめ 帯・小物のポイント
10月 名残りの茶事・野点・後の月など 夏の終わりを惜しみ、秋の深まりを感じる。屋外に茶席を設ける野点もあり風情重視 袷の色無地・訪問着・付け下げ。野点なら小紋も可 紅葉・女郎花・芒などの草花文様。色は錆色(さびいろ)・深緑・オリーブなど深みのあるトーンが良い 野点では裾の長さ・柄の汚れに注意。帯は軽やかな名古屋帯でも格上のものを選ぶ。足袋は厚手で温かいもの、小物で防寒を忘れずに。
11月 炉開き・口切・菊見・紅葉狩り 茶道では炉が入る時期。新茶を味わう口切など、年中行事のなかでも格式が高いものが多い 袷の訪問着・紋入り色無地が定番。未婚女性なら振袖の可能性も(初釜などほどではないが選択肢) 色は濃茶・深紺・焦げ茶・松葉色などの重厚な地色。文様は松竹梅・菊・蔦など古典的なものが合う 帯は袋帯。帯締め・帯揚げは格式ある素材(金銀糸・織物)を用いる。羽織・裏地つきコートで保温を。控えめな装飾で落ち着いた華やかさを。
12月 年忘れ・除夜窯・事始めなど年末行事 年の終わり・新年への準備の時期。おめでたさや厳かさの両方を感じさせる装いが好まれる 訪問着・付け下げ・色無地が主流。格式によって振袖も検討。 松・竹・梅・鶴亀など吉祥文様。地色には臙脂・紫・紺・深緑など。部分に華やかさを入れて節目を感じさせる 帯に光沢や金銀の織を含むもの。帯揚げ・帯締めでアクセントを。足袋の裏地・厚さを意識する。夜に行われる茶会は特に寒さ対策を。髪飾り・草履なども慎重に。

※絶対ではございません。

 

着物の選び方

  • 付下げや訪問着 … 菊や紅葉、流水文様など秋の柄を取り入れたものは華やかさもあり、茶席にもふさわしい。

    【袋帯】

    特選西陣織袋帯【藤原謹製】「彩王朝菱文」


    落ち着いたお色がベースになっていて菱型の中に青海波・紗矢型・有職菱などを織り込んだ中に松竹梅や紅葉・唐華を施してあるお茶席向きの袋帯です。

     

  • 小紋や江戸小紋 … 気軽な野点や練習会におすすめ。格は抑えめながら季節感を表現できる。

    【お勧め江戸小紋】

    生地はもちろん高級浜ちりめんを使用しています。
    型彫り、染め付け、全ての工程を手作業で行っているため、
    着物になってお召し頂いたとき、色の濃淡が微妙にあらわれ
    深みを感じます。シンプルな柄行きゆえに、帯のとりあわせも
    幅広く、合わせる帯によってお茶席からお祝い事、また観劇や
    お友達とのお遊びにとTPOの広さでは大変便利なお着物です。
    また
    柄の中に細かく「家内安全」という文字が美術的にアレンジされたお品で
    ございます

    浜ちりめんを使用。
    お柄は扇子に四季折々の小花柄が配置されております。上品なピンク色です。

     

    江戸小紋(家内安全)
    特選西陣織九寸名古屋帯【となみ織物謹製】「九百佐賀錦・唐華・六通」

     

    帯自体とても軽く締めやすいですが、柄は大変重厚感があります。綺麗な黄色のお色に唐華を施してあり、格高い名古屋帯となっております。江戸小紋に締めることにより格調高く品よく上品になっています。江戸小紋の柄は「家内安全」の文字で
    遠目からは無地に見えます。無地感覚でお召しいただけます。

    【小紋】

    高級小紋[伝統工芸士雅号:木永栄絹作 遊心] 地色が青丹色で一反の生地に色々な江戸小紋柄を施してございます。
    その柄を絞りの伝統工芸士の木永栄絹先生がより良く上品にしてくださいま
    した。まさに、お茶会にふさわしい小紋です。
    あくまでイメージとしてご覧ください。
    AIに小紋と名古屋帯を合わせた画像を作って下さいとお願いしたら
    このようになりました江戸小紋のそこ柄はなく素無地で柄も違っていますが
    お色は似ています。
    帯もまぁまぁ似ています。あくまで雰囲気を感じ取ってください。
    小紋ですので(飛び柄)お袖にも柄はございます。どのようにつくかは
    寸法どりで決まってきます。

手描き 糸目 友禅 着尺 正絹 [紋意匠生地 松の柄]
笹蔓文様の紋意匠に松の柄というおめでたい着物です。松は飛び柄で施され
ています。上品に描かれていますので帯の邪魔も致しません。逆に帯が着物
を引き立てます。秋から冬にかけてのお茶会には重宝する小紋と思います。
「きものむらたや」一押しのお品です。

 

八寸名古屋帯 【大光織物 謹製】「吉野間道・六通」

吉野間道は名物裂の一種で、江戸時代に茶人や大名たちに愛されていた柄です。
茶道において茶道具の袋や、掛け軸の表装などに使われています。茶道ととかく
縁の深いお柄です。

エンジ色の小紋と対照的で面白い取り合わせと思います。
普段使いには良い取り合わせかと思います。

正絹西陣織袋帯 【吉村織物謹製】 綾羅織 全通

玄人好みの上質なお品を作る帯屋さんとして有名です。山桃の樹皮を煮出した
染色液を化学染料に配合して染め上げた糸を使用して、「よろけ模様」を二重
だてにして織上げ、幻想的な帯の表情を作り上げた、まさに独創的な袋帯です。
しかも総通しの全通ですので、お太鼓の部分をあまり気にしなくてすむ安心な品。

しゃれ袋として飛び柄小紋に合わせてみたらどうでしょう。

 

正絹西陣織袋帯 【高島織物 謹製】 「夢日記・梅桜柄」

 

少しカラシ色をまぜたような独特の金茶色の地に、梅と桜の柄をオシャレにデザインして配置しています。柄が梅や桜をモチーフにしていますので結ぶ期間がご心配でしょうが、こちらの柄ですと気にせず締めれます。
柄的におめでたい場所が良いとは思います。

帯の合わせ方

  • 名残の季節には 薄めの地色に秋の柄を織り込んだ名古屋帯 が品よく映える。

    先程の着物に合わせた帯です。

    九寸名古屋帯【しおみ織物謹製・西陣織九寸名古屋帯】「吉祥柄段揃い」
    桐・七宝・荒磯・市松・菊菱・青海波など他いろいろな文様を盛り込んで段を作っています。さりげなく結ばれていても上品に感じられる帯です。

    特選【西陣織 九寸名古屋帯】都 謹製「唐草に松竹梅 六通」

    上品で格式ある和装アイテム しなやかに織り上げられたオフホワイトの帯地に、
    伝統的な「松」「竹」「梅」の図柄が唐草模様の上に美しくあしらわれた特選九寸
    名古屋帯【都 謹製】です。
    西陣織の伝統技術を駆使し、上品で格式高いデザインに仕上げられています。
    濃いめの着物にはメリハリがついて、又おめでたい柄ですのでお茶席には良い帯
    です。

  • 格を上げたい場には 西陣織の袋帯 を合わせて格調を演出。

→【「西陣織袋帯 加納幸」
特選西陣織袋帯【加納幸謹製】「縦雲取草花文様 金色・六通柄」

「雲取り」とは、古典的な模様の一つです。雲の形の曲線を図案化していて
その雲取りの中に、草花などの柄が納められています。金には、シックな泥金
を使い、流行に左右されていないのがまさに古典柄ですのでお茶席にお勧めです。

特選西陣織袋帯 【となみ織物 謹製】 優彩正倉院華文

バランスのよい品格の中にも、金彩はあくまでも 派手ではなく、品のある薄金
銀で表現をした配色に、優雅に装飾 された「華文唐草文様」のお柄。

(訪問着と合わせてある画像の帯はとても鮮やかに写っています。)

特選板場友禅染帯九寸名古屋帯

先日のお客様からのご相談です。

秋も深まり、これから冬へと向かう季節は、お茶会の開催も多くなる時期。先日いらしたお客様からは「先生が変わってから、お茶会の進行が少しゆったりしていて、準備やおもてなしの仕方に迷ってしまう」とのお声をいただきました。長く茶道を続けていらっしゃる方でも、流れや雰囲気が変わると「果たしてこれで良いのだろうか」と不安になるものです。

いつ段取りが分かるのかしら?多分お点前じゃないから安心だけどと思っているようでした。

夏の時は単衣の無地で大丈夫よと大先生から言われて安心していたのもつかの間。
やはり単衣の付下げか訪問着でと言われたらしく大至急で作られました。
(お家元がお越しでお側付のお役目だったため)

違うお客様はとにかく先輩に聞かれていたようです。
そうするのが一番間違いがないのですが、急に変わったりもしますので要注意ですね。また、お茶の世界。覗けば色々とあるようです。

気分を戻して

秋冬のお茶会は、お客様をお迎えするおもてなしの心と同時に、季節感のある着物選びも大切になります。「この場には訪問着がふさわしいのか」「控えめな付け下げでもよいのか」「帯は格調高いものを選ぶべきか」など、細やかな判断に迷う方は少なくありません。

そんな時こそ「秋冬のお茶会にふさわしい袷の着物と帯」をしっかり意識すると安心です。紅葉や菊、松竹梅といった文様を取り入れた装いは季節感を演出し、茶席の空気をより豊かに彩ってくれます。また、濃いめの地色の着物に金銀糸を織り込んだ袋帯を合わせると、秋から冬へ移り変わる深みのある風情を表現できます。

お稽古の先生が変わったり、お茶会の雰囲気が変化しても、着物選びとおもてなしの基本を押さえていれば安心して臨むことができます。大切なのは「相手を敬い、心を込めて迎えること」。そしてその思いを、季節にふさわしい着物の装いで表すことではないでしょうか。

当店では、秋冬のお茶会におすすめの袷の訪問着や付け下げ、そして茶席にふさわしい袋帯・名古屋帯を数多くご用意しています。お茶会のTPOに合わせた装い選びに迷われる方は、ぜひ一度「秋冬のお茶会特集ページ」をご覧ください。きっとご自身にしっくり馴染む一枚が見つかるはずです。

11月 ― 炉開きと口切にふさわしい袷のきもの

11月は茶道において特別な月です。
茶室で炉を開く「炉開き」は、茶道の一年の始まりともいえる大切な行事。さらに「口切」は、新茶を収めていた茶壷を開ける儀式であり、茶人にとって大切な節目を祝う場です。

この時期は格式を意識した装いが求められます。

着物の選び方

  • 色無地(紋入り) … 茶席で最も安心感のある装い。炉開きの正式な場にも最適。

  • 付下げ・訪問着 … 由緒あるお席や大寄せ茶会では、華やぎと品格を兼ね備えた付下げや訪問着が映える。

    訪問着です

    柄がおさえ目ですのでので、お茶席に重宝するお品です。
    帯も合わせやすい色目です。

帯の選び方

  • 炉開きには 格調高い袋帯(岡文織物) を合わせるとよい。

    藤の花をモチーフに笹や華文を組み合わせ、蔓の持つ強靭さと咲き乱れる豊稼さはともに吉兆のお柄として多々用いられてきました。藤の花はたわわに集まって咲き強い印象を感じさせます。
    地色はチョコレート色とボルドー色を組み合わせた上品なお色で太い絹糸を用いた唐織で優美な豪華さを表現しております。

    こちらの藤は写実的ではないのでどちらかというと長寿、子孫繁栄の象徴とされていて、「ふじ」は不二、不死に繋がると言うことで縁起の良い柄ということで、年間を通して使うことが出来ます。

  • 口切には 季節感を意識した茶壷文様や松竹梅の帯 が粋。

    西陣織袋帯【京藝謹製】「珠宝 正倉院文様」
    地色は金彩を含んだ品のある黒地系統です。その中に豪華なムードで織り描
    かれた、正倉院文様の連珠柄が、いっそう、この袋帯に品格を添えてくれます。
    流行もない柄ですので、末永くお使い頂けるひと品です。


ろうけつぞめ訪問着
合わせた帯は特選西陣織袋帯【京藝謹製】「謹上之帯令和・百の吉祥文様尽くし」


季節の柄を楽しむ ― 秋冬のお茶会の装い

茶道では、季節を感じさせる文様が大切にされます。
10月〜11月にかけておすすめの柄をご紹介します。

黒地に三色の菊が施されています。菊の中央が、水柿色・金糸雀色・藍白色で
外側の色とメリハリがあり菊の動いた感が感じられる柄となっております。
しゃれ袋として粋な雰囲気で結んで頂けます。


帯合わせで格と雰囲気を演出

茶席における「着物の格」は、帯で決まるといっても過言ではありません。
例えば同じ付下げでも、名古屋帯を合わせればやや控えめに、袋帯を合わせれば格式が高くなります。

  • 練習会・気軽な野点 → 名古屋帯

  • 大寄せ茶会・炉開き → 袋帯

    こちらは小紋に名古屋帯で合わせてございますが
    ブルーが色無地だった場合帯締めを帯揚げを替えれば品よく合わせられる
    のではないでしょうか?(AIに作ってもらったがぞうなので)



帯は【帯屋捨松】
1854年の創業以来、実に150年。その妥協を許さない物作りは大勢のキモノ通の方には定評のある人気ブランドの機屋さんです。 優しくて気品のある神秘的な紫を地色にお柄は「忍冬唐草文」で お柄は上品にまとめてございます。お着物に対して邪魔をせず尚且つ趣味性を漂う、洗練された表情をしていますので、ひと味違う着物姿を演出してくれる逸品の帯です。

正絹小紋 京染め[紋意匠に華文様/Japanblue]

丹後ちりめんを使用し、三種類の唐華華文をとび柄であしらっています。華のある上品で控えめ過ぎず主張しすぎずといった感じの柄となっております。

正絹紬【板場友禅】
特選博多織紋八寸名古屋帯【本場筑前博多 大倉織物謹製・誠之輔ブランド】

このお品は黒地に四季折々の花柄模様(唐華)が白抜きで施されているように型染めされてございます。とても手間のかかったお品です。おしゃれに、粋にとお召しになる方の雰囲気に合わせて帯も名古屋だったりしゃれ袋だったりと色々と楽しめます。

八寸名古屋帯は、白をベースに正方形のドット柄が幾何学的に配してあり、数色のお色で施されてございます。おしゃれで粋な感じを表現してございます。博多織伝統の平織を利用した織物でございます。帯芯がいらないのでスリーシーズンではなく夏もご愛用頂けると重宝されています。(絽ではないですが張りがございます)

最近、お稽古などでお茶の先生がこちらのメーカーの帯を締められたら楽でやめられないとのこと。それだけ着用も楽でしっかりしているということです。


まとめ ― 秋から冬にかけてのお茶会は袷のきもので

10月から11月にかけては、茶道の大切な節目が集中する時期です。
名残の茶会や野点の茶会では季節感を、炉開きや口切では格式と品格を大切に、場にふさわしい装いを心がけたいものです。

「どんな着物を選べばよいかわからない」という方には、当店がご用意する 秋冬のお茶会特集ページ をぜひご覧ください。具体的な着物や帯のコーディネート例を写真付きで紹介しています。