夏の楽しみが、少しずつ近づいてきました
梅雨の雨音を聞きながら、夏の訪れをそっと待つこの季節。
今年の梅雨明けは全国的に平年並みか、やや早めと予想されており、7月中旬〜
下旬には夏の青空が戻ってくる見込みです。
「梅雨が明けたら何をしよう」「夏のお茶席には何を着ていこう」と、心の中で
ひそかに夏支度を始めている方も多いのではないでしょうか。
今回は、私どもきものむらたやの近況も交えながら、この季節ならではの4つの
話題をお届けします。
① 水質日本一の清流・高津川と、天然鮎の塩焼き
先日、地元のお店で天然鮎の塩焼きをいただきました。

シンプルな塩焼きなのに、香ばしくて、さっぱりして、絶品。思わず目を細めて
しまいました。
この鮎が育った川が、「高津川(たかつがわ)」です。
(2022年に高津川という映画になりました。余談ですが・・・・・)
国土交通省が毎年発表する一級河川の水質調査において、「水質が最も良好な河川」として度々「水質日本一」に選ばれている清流です。本流にダムが一切ないため
透明度が高く、島根県益田市などを流れて日本海へと注いでいます。
今年は昨年より大きめの鮎が育っているというお話も聞きました。
毎年、東京の親戚にお中元として送っています。
(送るばかりで、自分たちの口には滅多に入りませんが…)
「こんな貴重なものを」と叔母様がいつもおっしゃってくださいます。
亡くなった義母から「喜ぶものを選んでね」と言われていたので、お口のこえている叔父様・叔母様に何が喜ばれるかと考えたとき、「これしかない」と思った次第
です。
嬉しかったのは「良いお嫁さん貰ったわね」と言っていただけたこと。
何よりの誉れの言葉です。
天然鮎と和菓子「若鮎」
初夏の川を泳ぐ鮎の姿を模した和菓子「若鮎(わかあゆ)」は、夏のお茶席を彩る代表的な主菓子です。

カステラ生地で求肥(ぎゅうひ)を包み、魚の形に折って目やヒレの焼き印を押したその愛らしい姿は、見ているだけで涼しい気持ちになります。
本物の天然鮎がおいしく育つ清流は限られています。水質日本一の高津川で育った天然鮎と、全国どこでも見かける和菓子の若鮎。どちらも初夏にしか出会えない、この季節だけの贈り物です。
② 夏の付け下げ×絽の袋帯|涼やかな準礼装のご提案
夏のお茶席や改まったお席に、何を着ようか迷ったとき。この一枚がきっと答えになります。
変わり絽の付け下げ
横絽に縦絹を混ぜた「変わり絽」の付け下げです。

淡い紫をベースに、草花が静かに、品よく描かれています。絽ならではの透け感が、見た目にも、まとった瞬間にも自然な涼しさをもたらしてくれます。
付け下げは訪問着よりも気軽でありながら、よそゆきから準礼装まで幅広く対応できるのが魅力です。一枚持っていると、夏の装いがぐっと広がります。
七宝柄の絽の袋帯
合わせた帯は七宝柄の絽の袋帯です。

グレーの地にパステルカラーの花々と金糸が品よく輝きます。着物の淡い紫と帯のやわらかな多色使いが、不思議と自然に溶け合います。
夏の袋帯ならではの涼しさと格調が両立した、お茶席にぴったりの一本です。

ご興味のある方は、お気軽にお声がけください。
③ 夏のしつらえ、整いました|夏茶碗を飾って
店頭のウィンドウを夏仕様に入れ替えました。

主役は夏茶碗たちです。
ぽってりとした赤みがかった茶碗、すっきりとした白い茶碗、味わい深い小ぶりの茶碗。三者三様の表情が並ぶだけで、もう夏のお茶席が始まりそうです。

茶碗は使う季節、お点前の種類、そしてその日の気分で選びます。同じお抹茶でも、茶碗が変わると味わいまで変わる気がします。
通りがかりにふと目に留まって「夏が来たな」と感じていただけたら嬉しいです。どうぞお気軽にお立ち寄りください。
お抹茶の高騰について
近頃、お抹茶が手に入りにくくなっています。海外の方にも茶道・日本茶の魅力が伝わっている証拠ですね。嬉しいことでもありますが、なかなか大変でもあります。何とか今は残りがございますので、お稽古やお茶席にぜひご活用ください。
④ 7月の「朝茶(あさちゃ)」|夏の茶の湯の最高峰
7月は、茶道において特別な趣向の茶事が行われる季節です。それが「朝茶(あさちゃ)」です。
朝茶とは
暑さが本格化する前の早朝(午前6〜7時頃)に客を招き、清涼感と非日常的な時間を楽しむ趣向の茶事です。「水」と「涼」を主役としたもてなしが特徴で、夏の茶の湯において非常に格式が高く、人気のあるスタイルです。
まだ涼しい朝の空気の中で、水打ちされた露地を歩き、一杯のお茶をいただく時間は、何より贅沢なひとときです。
朝茶のこだわりポイント
打ち水と露地の準備 亭主は前夜から入念に打ち水を行い、露地(庭)を清めます。翌朝、客が踏みしめる石畳に残る水の気配が、涼を呼び込む大切な演出です。
懐石料理 盛夏という季節柄、生魚を避け、焼き物を省いた「一汁二菜」が基本です。冷たい素麺や酢の物、さっぱりとした献立で涼を誘います。
目にも涼しい設え ガラスの器・青竹の花入れ・朝顔や撫子など夏の花。すべてが「涼」を表現するための選択です。
朝茶の席には、絽の付け下げや紗の着物に涼やかな帯を合わせると、装いも場の雰囲気にぴったり馴染みます。

絽の付下げと絽の袋帯でAIに着姿を作って貰いました。イメージ画像です
⑤ お茶席の着物、何を着ればいい?|
呉服屋が教える選び方とマナー
「お茶席に招かれたけれど、何を着ていけばいいか分からない」というご相談をよくいただきます。茶道には独自のルールがあり、着物選びに迷われる方は多いです。ここで呉服屋の立場から、分かりやすくお伝えします。
迷ったらこの2択|どんなお茶席でも失礼になりません
● 色無地(いろむじ)+一つ紋(ひとつもん)
柄のない一色染めの着物です。背中に一つ家紋を入れるだけで、お茶席に最適な格になります。主役であるお道具や主催者を引き立てるため、お茶の世界で最も愛される着物です。色は落ち着いた上品な色合いのものを選ぶと間違いがありません。
● 訪問着(ほうもんぎ)/付け下げ(つけさげ)
模様がつながっている華やかな着物です。初釜(新年最初のお茶会)や大きなお茶会にゲストとして招かれた際にぴったりです。ただし、あまり派手すぎない、古典的で優しい柄行きが好まれます。今回ご紹介した変わり絽の付け下げのような、品のある色柄のものが重宝します。
お稽古やカジュアルなお茶会には
● 江戸小紋(えどこもん)+一つ紋
遠目には色無地に見えるほど細かい職人技の柄が入った着物です。特に「鮫(さめ)」「通し(とおし)」「行儀(ぎょうぎ)」という柄は格が高く、お茶席に最適です。一つ紋を入れることで、準礼装としても通用します。
● 小紋(こもん)
紋のない一般的な小紋は、普段のお稽古着として重宝します。気軽に動けて、洗いやすいものを選ぶと日常使いにも便利です。
絽ではございませんが、一番困単衣時期にお勧め
帯はスリーシーズンなので真夏以外はかなり長く締めれます。
着物は単衣にされると6月9月(お茶席では)それ以外の方は
気温に応じて着用されたら良いかと思います。(温暖化のため)

お茶席で絶対にNGな着物・マナー
お茶席には独特の厳しいルールがあります。初めて参加される方は特にご注意ください。
❌ 「紬(つむぎ)」はNG 大島紬や結城紬など、どれだけ高級な紬であっても、織りの着物は「普段着」とみなされるため、お茶席(お稽古以外)には着ていけません。これは着物の価格とは関係なく、あくまでも「格」の問題です。
❌ 光る帯留め・指輪・時計は外す 高価なお茶碗や道具を傷つける恐れがあるため、アクセサリー類はすべて外すのが鉄則です。帯留めも控えるか、柔らかい素材のものを選びましょう。
✅ 白い足袋(たび)が必須 畳を汚さないよう、お茶室に入る前に新品または清潔な「白足袋」に履き替えるのがマナーです。足袋カバーをお使いの方は、席入り前に必ず外しましょう。
夏の着物ライフを、もっと豊かに
今回は4つの話題をお届けしました。
| テーマ | ポイント |
|---|---|
| 高津川・天然鮎 | 水質日本一の清流が生む極上の味 |
| 夏の付け下げ×袋帯 | 変わり絽×七宝柄で涼やかな準礼装 |
| 夏のしつらえ | 夏茶碗で店頭も夏仕様に |
| 朝茶 | 早朝の涼と非日常を楽しむ茶事 |
| お茶席の着物選び | 色無地・付け下げ・NGマナーまで |
梅雨明けを心待ちにしながら、夏の着物や茶の湯の楽しみを少しずつ準備していく時間は、なんとも豊かなひとときです。
お稽古やお茶席、夏のお出かけに向けて、ぜひお気軽にご相談ください。皆さまのご来店を心よりお待ちしております。


桔梗柄ぼかし絽の着物に夏の帯の着姿 イメージ画像
流れるような蔦や葡萄。それぞれに吉祥文様として、七宝、青海波、亀甲柄が唐織で施されています。お色も涼しい感じのする夏名古屋帯に仕上がっています。夏のお茶事、お茶会にご友人との会食に是非どうぞ。

お稽古の着物と帯に東レの絽の小紋と夏の帯の着姿を作って貰いました
お稽古やお茶席、夏のお出かけに向けて、ぜひお気軽にご相談ください。皆さまのご来店も心よりお待ちしております。
https://www.kimono-murataya.com/
きものむらたや 島根県益田市
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