お茶会・式事に寄り添う、
~いま改めて見直したい大人の着物スタイル~
年末が近づくと、初釜や炉開き、新年会、各種式事など、あらためて着物を
着る機会が増えてまいります。
そんな中、近年はあまり語られなくなったものの、実は非常に重宝する存在
として見直していただきたいのが「一つ紋黒羽織」です。
この度は
一つ紋黒羽織・小紋・名古屋帯・洒落袋帯を中心に、
お茶会や改まった場面での着こなしについてご紹介いたします。
一つ紋黒羽織とは|略礼装としての位置づけ
一つ紋黒羽織とは、黒地の羽織に家紋を一つだけ入れた羽織を指します。
この一つ紋黒羽織は、
- 黒羽織: 黒無地の羽織で、ジャケットのような役割を果たします。
- 一つ紋: 紋の数で格式が決まり、一つ紋は準礼装(略礼装)の目安と考えます。
- 黒羽織: 紋が入ることでフォーマル度が増します。☆用途
防寒や塵除け、略礼装として、普段着の着物(小紋など)を格上げする目的で用
いられます。特に一つ紋を入れると、格式が高まります。☆種類
無地(地紋入り含む)や絵羽(縫い目をまたぐ柄)柄、紋付などがあり、着用
シーンに合わせて選びます。男性は成人式、卒業式、結婚式などで黒紋付を着
ることが多いです。
☆特徴
洋装でいうジャケットやカーディガンに相当し、訪問先で脱ぐ必要はござい
ません。
ここがコートと違う所です。
幅広いシーンに対応できます。
- フォーマル: 紋付の黒羽織は、結婚式での親族の装い、卒業式、葬儀・法事、
式典などで着用されます。 - 略礼装: 女性の黒羽織は、かつては入学式や通夜の際の装いとしても一般的
でした。 - カジュアル: 紋がない場合や、現代的なデザインのものは、おしゃれ着として
普段使いも可能です。
絞りの羽織が流行ったと聞きます。絞りの羽織が良いのは後々四つ身に仕立
てられるということです。
特に総絞りの羽織は、生地が柔らかくシワになりにくいため、子供用へのリ
メイクすることが出来ます。注意点として
ポイント
①洗い張りが必要です。
かなり前の品物ですので羽織の汚れを落とし、生地をきれいな状態に戻してか
ら四つ身に仕立て直します。②サイズについて
羽織の方が丈が短いので長さが足りない場合があります。その場合、マチ(脇の布)を足す技術や、羽織の襟を縦に半分に切って繋ぎ合わせるなどして身丈を伸ばす対応をするようです。あと新しい胴裏や八掛が必要になると思います。確実なのは三才の被布にリメイクされるのですと生地は足りますので四つ身より
生地の長さを気にせず安心して仕立てられます。
-
黒羽織に小紋ですとちょっとしたご挨拶など、お寺の行事や観劇やコンサートなどの会・式事に適しています。知り合いのお通夜なども礼を尽くされてとても良いかと思います。
チャットGPTに小紋に黒共名古屋帯に黒羽織を羽織らせて着姿を作って下さい
と頼んだら羽織の一つ紋が背中ではなく左に一つ紋が入っていました。
まぁここは無視してイメージでご覧ください。

着物はこちらのの小紋で頼みました。柄の位置はイメージです。
こちらの無地などに一つ紋の黒羽織を羽織たら結婚式にも出席できます。
お落ち着いた雰囲気で素敵です。 -
小紋
黒羽織に小紋ですとちょっとしたご挨拶など、お寺の行事、お通夜、観劇
コンサートなどにどうぞ。 -
色無地
お通夜でも親族側、(帯は黒共名古屋帯に黒羽織)
帯を華やかな袋帯にして一つ紋の黒羽織にすると結婚式の披露宴に最適です -
江戸小紋
無地感の小紋です。遠目から見たら無地です。ですが小紋には間違いない
ですので小紋と同様の使い方をされたらいいかと思います
これらと黒羽織は
略礼装(準礼装)として格を一段引き上げてくれる大変便利なアイテムです。
昭和の時代に重宝された理由
訪問着が一般化する以前、一つ紋黒羽織は
-
入学式・卒業式
-
お茶会
-
式事
-
場合によっては弔事の代用
として、幅広く使われてきました。
実際、
「小紋に黒共帯、そして黒羽織」という装いで
葬儀や改まった場へ出かけられた方も少なくありません。
義母様が小紋に黒共帯、黒羽織で葬儀に参列された姿、
また知人の方が同様の装いでいらした上品な佇まいは、
まさにこの黒羽織の持つ“静かな格”を物語っているのではないかと
思います。
なぜ今、黒羽織は敬遠されがちなのか
現在、黒羽織は
「古い」「堅い」「喪を連想する」
といった理由から敬遠されがちです。
しかし本来、黒羽織は
-
場をわきまえた大人の装い
-
控えめで品のある格式
-
着物姿全体を引き締める役割
を担う、非常に完成度の高い羽織です。
特にお茶会のように
「派手さよりも品格が求められる場」では、
これほど心強い羽織はありません。
ただ、お茶会の場合は帯付けで出席されます。

羽織は「脱がなくてよい」美しさ
着物の上に着るものとして、
-
コート → 室内では脱ぐ
-
羽織 → 室内でも着用可能
という違いがあります。
この点において、羽織は
-
到着後も着姿が完成する
-
立ち居振る舞いが美しく見える
-
防寒と装いを両立できる
という利点があります。
羽織るだけで着物姿が一段と洗練される
それが黒羽織の大きな魅力です。
小紋との相性|お茶席にふさわしい小紋とは
黒羽織の下に合わせる着物として、
もっとも活躍するのが小紋です。
おすすめ:京染高級小紋[染着尺・総柄]
金も使用されていて華やかになっています。お稽古にはもったいないお品です。
やはりお茶席にお召しいただきたい上品なお着物です。小紋とはいえ付け下げ
くらいの格のあるお品ですのでしゃれ袋帯を合わせても大丈夫です。ただ、重
たすぎる(重厚な)袋帯ではないお品をお勧めします。
金加工の少ない袋帯、名古屋帯でしたら格の高い帯を結んでください。
帯自体とても軽く締めやすいく大変重厚感があります。お色を考えると、淡い
お着物に合されるととても素敵になります。染びった柄を織り込んだ枠の中に
丸い輪があり、形は菊のようではありますが、様々な形に施してあります。
スリーシーズンお召いただける、大変重宝する逸品です。
チャットGPTにイメージ画像を作って貰いました。

-
初釜
付下げや訪問着が良いかと思います。無難に紋付色無地にされる方も多いです

この付下げをイメージして作って貰った画像です。お茶席向きにと帯も指定
したのですが、なかなか思うような帯にならなかったです。
ただ、先日その帯もセール中でしたので売れたばかりでしたので丁度良かった
所です。高級付け下げ [正絹未仕立て]
こんな帯もお勧めです
特選西陣織袋帯【京藝謹製】「白眉・吉祥文様尽くし」
お色は綺麗なクリーム色で柄は古典的ですので、長くお締め頂けるお品です。
鳳凰や華文や菊・松・桜などを施してバランスよく仕上げています。各柄の
パーツを組み合わせてできた洗練された柄行となっており、色々な色の糸を
使っていますので無地でも色々なお色が選べます。付け下げや訪問着に合わ
せても、留袖、色留袖に合わせても上品にお召いただけます。 -
炉開き
-
新年会
どのような新年会なのかにもよりますが、
同窓生の集まりの新年会や趣味の会や気軽な会の新年会などは小紋や紬が
宜しいかもしれません。


京友禅染高級小紋[橘桐菊文様]の着姿を作って貰ったつもりですが
多少柄行きがちがっているようです。なんとなくのイメージとして
捉えてください。お帯は特選 西陣織 袋帯 【織悦 謹製】 有悦織 ルーマニア立菱縞文様
でお願いをしましたが色が濃く柄も少し違っているようです。ここら
クラスの小紋ですとしゃれ袋でも十分まとまって見えます。

帯地は非常にしなやかで、裏地も表と同じ織機・同じ糸を使って丁寧に織り
上げられています。裏まで揃えることは大変手間のかかる工程です。正絹小紋 京染め[丹後ちりめん紋意匠地・唐草の花の宴]

気軽に着れる小紋としてお勧めです。お稽古にも良いですがコートなどにされても
お面白いかもしれません。 -
お茶席
といったおめでたい場に非常に向いています。
柄が細やかで品があり、
派手すぎず、地味すぎない――
まさに大人のための小紋です。
黒羽織を羽織ることで、
この小紋が略礼装として成立し、
場にふさわしい格を備えます。
名古屋帯・洒落袋帯で格と遊び心を添える
特選西陣織九寸名古屋帯【桝屋高尾謹製】
「針ねん金名古屋帯・彩の冒険」
少し価格は張りますが、
本当に価値のある名古屋帯としてご紹介したい一本です。

針ねん金の魅力
針ねん金は、経糸の浮き沈みによる文様表現「経錦」を軸とし、柄に
よっては緯糸での文様表現「緯錦」と融合させ、新しい織表現の創作です。
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経糸の浮き沈みで文様を表す「経錦」
-
緯糸で文様を描く「緯錦」
これらを融合させた、
従来の織の概念を超えた革新的な技法です。
経糸にねん金糸を多く使うことで、
文様に奥行きが生まれ表情が非常に豊か
しかも軽く、結びやすいという特長があります。
お茶席にも馴染みながら、さりげない洒落感と粋を感じさせる
まさに「大人が選ぶべき名古屋帯」です。
洒落袋帯という選択肢
もう少し格を上げたい場合には、
洒落袋帯もおすすめです。
黒羽織 × 小紋 × 洒落袋帯
という組み合わせは、格式と遊び心のバランスが非常によく、
式典や趣味の会で一目置かれる装いとなります。
来年に向けて|着物を楽しむという希望
年末は、一年を振り返ると同時に
来年への想いを巡らせる時期でもあります。
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またお茶会に出かけたい
-
着物で人と会いたい
-
好きな装いを楽しみたい
そんな気持ちに寄り添う存在として、
一つ紋黒羽織・小紋・良い帯は、
きっと心強い味方になってくれます。
着物は、特別な人だけのものではありません。
少しの工夫と選び方で、
人生を豊かにしてくれる「日常の楽しみ」にもなります。
黒羽織は今こそ見直したい一枚
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一つ紋黒羽織は略礼装として非常に優秀
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小紋と合わせることで幅広い場面に対応
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良い名古屋帯・洒落袋帯で品格と洒落感を演出
-
式典や趣味の会に自信をもって着られる装い
「黒羽織は古い」ではなく、
「黒羽織は美しい」
そう感じていただけるきっかけになれば幸いです。
年間行事別・特集構成案
① 初釜(1月)|一年のはじまりにふさわしい装い
初釜にふさわしい着物と帯|格と華やぎを大切に
ポイント
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社中や席主によって格式に幅がある
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新春を物語る小紋や紋付色無地(無難)、付け下げ、訪問着
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洒落袋帯や格のある名古屋帯がおすすめ。訪問着ですと正装の袋帯
👉
「新年らしい華やぎ」と
「控えめな品格」の両立が大切、という視点が◎
② 夜咄(冬)|静けさと陰影を楽しむ茶事
夜咄の茶事と着物|控えめで美しい大人の装い
ポイント
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夜、灯りを落とした空間
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きらきらしすぎない素材感
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色数を抑えた小紋・紬・名古屋帯
👉
桝屋高尾さんの針ねん金名古屋帯は
「光りすぎない奥行き」が夜咄向き、と自然に紹介できます。
③ 利休忌(3月)|侘びと慎みを大切にする席
利休忌の茶席にふさわしい着物とは|慎みと品格
ポイント
👉どのような装いで?
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派手すぎるのは控える
-
色味はやさしく、染め抜き紋色無地に上品で格のある帯
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「きちんと感」を
- 着物: 色無地(染め抜き一つ紋または三つ紋)が最も一般的で適しています。
お色は、グレー、薄いブルー、地味な紫、茶色などの控えめな色を選んだほうが
宜しいかと・・・・・。ただ、百回忌以上経っているため、多少華やかさのある
色目でも問題はないかと思います。
基本は追悼の意を表す落ち着いた色を好まれる場です。 - 帯: 地味な色柄の袋帯などを合わせます。格は合った方が良いと思います。
名古屋帯でもつづれ織の様な格のある帯ですと何ら問題はないかと思います。
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④ 花祭り(4月8日)|お釈迦様のお誕生日
花祭り(灌仏会)と着物|宗派を問わず楽しむ春の茶会
ポイント
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宗派を問わず行われる行事
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春らしい色、小花文様、やわらかな雰囲気
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京染小紋・総柄小紋が活躍
👉
「おめでたいが、華美ではない」
という説明が、初心者にも安心感を与えます。
お茶事やお茶会の趣向、装いの考え方は社中によってさまざまです。
その違いを楽しみながらも、「場を大切にする気持ち」が何より大切だと感じ
ています。







